01 Performance studies 1
02 Performance studies 2a
03 later
04 Performance studies 3a
05 Performance studies 2b
06 Merei-träu メライトロイ
07 Performance studies 3b
08 Performance studies 4
09 Performance studies 5
10 Poem 詩
11 Performance studies 6
All tracks composed and performed by Midori Kubota
Tr. 3 : lyrics and piano preparation by Midori Kubota
Tr. 10 : lyrics by Shuntaro Tanikawa, vocal by Ayako Kosaka
Recording engineer : Masuhisa Nakamura Recorded at “Midori-no-ie” studio
Mixing engineer : Seigen Ono (tr. 1, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9 &11) Takehiko Kamada (tr. 3 &10)
Mastering engineer : Seigen Ono
2011年、私は《SCORES》と名付けられたソロ・パフォーマンスを行った。図形楽譜(モート ン・フェルドマン、ジェームズ・テネイ)の作品や、通常の仕方とは違う様々な読譜方法によ る作品(足立智美、北條知子への委嘱作品)を集め、さらには2時間にわたる公演それ自体が ひとつの作品となるような構成であった。
その時自作新作として初演したのが、ソロピアノによる《Performance Studies》シリーズであ る。任意の楽譜を様々なインストラクション̶̶楽譜を上下逆さまに演奏する、特定のパート のみ1小節遅れて演奏する、右手と左手を異なる方向へと同時に読譜して演奏する、など̶̶ に従って演奏する、一種のパフォーマンス作品である。
そうして読譜行為と演奏行為とが一旦解体され、それらが再びつなぎ合わされるそのあわいに 生まれる音は、楽譜を「普通に」読みながら演奏する音とはまるで異なっている。楽譜全体か ら想像される音のイメージを事前に入念に乗せた音ではなく、瞬間ごとになされる読譜行為と の格闘や、次の音を待っている佇まいや、迷いや、思考停止となった空虚感を結果として孕ん でしまう。
それらすべてを改めて録音によって記録し、きき返した時、自分が想像していたよりも様々な 種類の音が、存在感を持って仔細にきこえてくると思われた。そして、これは「音楽作品」と いうよりも「音楽行為のドキュメンタリー」ではないか、と思った。
長い時を経て、過去の自作が持っていた意味を、ようやく現在の自分が発見したのである。
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