NekonoTopia NekonoMania 2019 remastered
Seigen Ono

SDSD-1005B 
 
e-onkyo     mora     OTOTOY
 

TRACK LIST:
01. A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY
02. AN APPLE IN THE FREEZER
03. ENISHIE
04. NekonoTopia NekonoMania
05. MY FIRST WISH
06. It's DENISE
07. A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY
08. 1989
09. I THINK OF YOU
10. PLANADOR ~ CARAMBA
11. BERLINER NÄCHTE part-1
12. BERLINER NÄCHTE part-2
13. BERLINER NÄCHTE part-3
14. BERLINER NÄCHTE part-4
15. I THINK OF YOU
MUSICIAN:

Featuring musicians: John Zorn, Bobby Previte, Evan Lurie, Eric Sanko, Jill Jaffe, Maxine Neuman, Hiroki Miyano, Tomohiro Yahiro and Seigen Ono
 
Written and Produced by Seigen Ono
DSD Remastered by Seigen Ono at Saidera Mastering, Tokyo 2019

Recorded by Yasuo Morimoto at NHK 506 studio, Tokyo November and December 1989
Record onto SONY PCM-3324, mixed onto SONY PCM-3402 (Dash)
Except [6][9][15] Recorded by Yoshikazu Sasahara
[10] Recorded by Dave Darlington and Seigen Ono at QUAD, New York City, December 1988
Record onto Studer A80 24track analog, mixed to Half-inchi analog tape.
[11][12][13][14] Recorded by SEIGEN ONO at GREEN studio, Milan, September 1988
Record onto Studer A80 analog tape mixed on DAT
Cover Photography: MICHAEL BANKS 
Special Thanks to ATSUSHI KIMURA, MICHAEL BANKS, EAVN LURIE, JOHN ZORN, HIROKI MIYANO, TOMOHIRO YAHIRO, LOIS LERNER, BARBARA WAREN-PACE, FRANCA SONCINI, EMANUEL GINEPRO, CHRISTIANA GORZA, MONICA PAPARCONE, ANJA BORSTELMANN CRISTINA FIGUEIREDO, YASUO KUROKI, KAORU MATSUZAKI, NAOKI NAITO
JOHN ZORN appears courtesy of Nonesuch Records BOBBY PREVITE appears courtesy of Grammervision
 
 
01. A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
Seigen Ono: acoustic guitar
 
02. AN APPLE IN THE FREEZER
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
Seigen Ono: acoustic guitar, Prophet 5
 
03. ENISHIE
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
 
04. NekonoTopia NekonoMania
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
Seigen Ono: acoustic guitar, 12 strings guitar, Prophet 5
 
05. MY FIRST WISH
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
Seigen Ono: acoustic guitar, 12 strings guitar, S-900
 
06. It's DENISE
Seigen Ono: electric guitar, 12 strings guitar, Prophet 5, S-900
 
07. A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY
John Zorn: saxophone / Hiroki Miyano: Ovation guitar / Tomohiro Yahiro: percussion
Seigen Ono: acoustic guitar
 
08. 1989
Seigen Ono: 12 strings guitar, Prophet 5, S-900
 
09. I THINK OF YOU
Evan Lurie: piano
 
10. PLANADOR ~ CARAMBA
Bobby Previte: drums / Eric Sanko: bass / Jill Jaffe: violin / Maxine Neuman: cello / Seigen Ono: 12 strings guitar, CK-1, S-900, D50, DX-7, balaphone,  charango
 
11. BERLINER NÄCHTE part-1   *
Seigen Ono: 12 strings guitar
 
12. BERLINER NÄCHTE part-2   *
Seigen Ono: 12 strings guitar
 
13. BERLINER NÄCHTE part-3   *
Seigen Ono: 12 strings guitar
 
14. BERLINER NÄCHTE part-4   *
Seigen Ono: 12 strings guitar
 
15. I THINK OF YOU
Seigen Ono: piano
 
 * track 11-14 used for "Mobili sotto luci da film" Affascinante percorso tra pezzi d'arredamento al Mattatoio (Pallucco). Luci: Henry Alekan, Musica; Seigen Ono / Mattatoio Milano Via Lobbroso 53.  14/19 settembro 1988
[映画用ライトの下の家具]
1988年9月14日 ミラノ(イタリア)
照明: アンリ・アルカン
音楽: オノ セイゲン
写真: ピーター・リンドバーグ

光と影と音楽と 
 時は1988年。私はミラノのデザインアカデミーの学生だった。30名しかいないクラスの平均年齢は28歳という異色なアカデミーで、イタリア人はたった2人のみ。英米をはじめ、フランス、ドイツ、スペイン、ポルトガル、ベルギー、ブラジル、メキシコ、タイ、そして日本など、世界各国から来た学生たちが議論を交わす刺激的な毎日だった。
その日、クラス全員が家具見本市(現ミラノ・サローネ)を見てまわっていた。今の若い人には想像できないだろうが、スマホどころか携帯電話さえもない当時、情報はSNSではなく口伝えで広まるものだった。クラスメイトと、「どこそこの展示がすごいぞ」などと互いに情報交換していた。
 そろそろ足も疲れてきた夕方、すれ違ったクラスメイトたちが、興奮気味に言った。屠殺場跡地ですごいものを見たと。それは、イタリアのある家具メーカーのイベントだった。
私とクラスメイト数人は、ミラノ郊外の、なにも無いだだっ広い草っ原にある屠殺場の廃墟に向かった。辺りはすでに真っ暗で、人も少なく、襲われたら一貫の終わりという不穏な空気が漂っていた。
しかし、近づいてみると、それはただの廃墟ではなかった。崩れかかった煉瓦造りの建物を、巨大なスポットライトが外から中に向かって照らしていたのである。
私たちは中に足を踏み入れ、一瞬にして異次元に飛んだ。
まるで太陽がそこにあるように、大きな穴の向こうから、強烈な光が差し込んでいた。殺伐とした空間で主人公さながらに照らされていたのは、たったひとつのねじれた家具だ。光は、ざらざらしたコンクリートの床に長い影を作っていた。
そして、音楽が流れていた。ゆったりとして、少しノスタルジックで、少し未来的で、少し複雑な、メロディがあるのか無いのかわからない心地よい音楽が、重なる弦の音が、空間を完全に支配していた。私は部屋の端の床の上によろよろと座り込み、光と影のあいだを漂う音楽に身を委ねた。
クラスメイトたちの誰ひとり、声を出さなかった。ただ、驚愕していた。なんなんだこれは。たがいに目を合わせ、言わずともわかるこの感覚を共有した。
まちがいなく、人生で最も衝撃を受けたイベントだった。しかもアートではなく、家具の展示会のはずだ。家具が、こんなにも衝撃を与えることができるのか?誰もがそう自問した。
しばらく呆然としていた私は、どうしても音楽家の名前を知りたくなった。そしてそれぞれの部屋を見てまわり、やがて関係者のいる細長い机を見つけた。そこに、アジア系の若い男性がいた。私はイタリア語で訊いた。この音楽は誰のでしょうか?と。
 すると、私の顔を見たその人がこう言った。「もしかして、日本人の方ですか?」
 頷くと、彼はにっこり笑ってこう言ったのだ。
「ぼくは10日ほど前にここに来てこの音楽を作りました。12絃ギターで演奏したんですよ」※
その人こそが、オノ セイゲンだった。ラッキーなことに、私はご本人と対面してしまったのだ。私はその時彼に何を言ったかよく覚えていないが、絶賛したことだけは覚えている。もし日本に行くことがあったら、ぜひあなたのコンサートに行きたい、とかなんとか言ったかもしれない。私も彼もまだ20代の頃だった。
それ以来、オノ セイゲンとは細くて長いお付き合いをさせてもらっている。
今では数年に一度会うだけだが、会えば必ずこの時の話が出る。それほど、当時ミラノにいたクリエイターや学生みんなの心を揺るがした都市伝説的なイベントだったのだ。
あのイベント以降、私はジェットコースターのように上へ下へ、また重い病気になったりという波瀾万丈な人生を送り、気がつけば物書きになっていた。「作家になりたい」などという野望はなく、ただ「物語を書きたい」が重なり、無我夢中で書いていたら、50冊ぐらいの著作を持つようになっていた。その多くは中高生向けのYAと呼ばれる分野の小説だが、小学生向けの児童文学や、新聞連載、大人向けのエッセイなど、いつの間にかデザインから物書きに完全にシフトしていた。
あれほど熱意を持っていたデザインへの情熱はいつしか消えていた。病床で、一冊の本は人を救えるかもしれないが、一脚の椅子にはそれができない、という限界に気がついてしまったからかもしれない。美は世界を救う、と尊敬する建築家レンゾ・ピアノはよく言っていた。確かにそれは嘘ではないかもしれない。しかし翌年はもうこの世にいないかもしれないと覚悟した私には、建物や家具の美より、文章や音楽のザワザワの方が心に響いた。言葉や旋律は自分の中に入ってきて、精神に多大なる影響を与えた。健康をとり戻した今も、それは変わらない。
あの屠殺場に展示されていた家具そのものは私の人生を1ミリも変えなかったが、あの時のオノ セイゲン音楽とアンリ・アルカンの光は、確かに私の人生の一部分を大きく照らした。
佐藤まどか
イタリア在住。主な著作に『一〇五度』『アドリブ』(両方ともあすなろ書房)、『スネークダンス』(小学館)など。新作は10月発売の『雨の日が好きな人』(講談社)。
http://www.madoka-sato.com
追記:オノ セイゲン 2022/09/13@ローマ
そうだった。忘れてた記憶をいろいろ思い出した。佐藤まどかさんは、あのマジカルな空間の証人である。太陽光のような光の下では、ジャン・コクトー「美女と野獣」の白黒フィルムの中に飛び込んだように何もかもが美しく見えた。東京からミラノに機材や楽器、12弦ギターやAkai S1100 samplerも持ち込んだ。まず、ここ(1970年頃に閉鎖された屠殺場跡地=Mattatoio)につれてこられて、アンリ・アルカンの映画照明をセッティングから見て。ホテルではなくエージェントのスタッフ、モニカさんのアパートを借りて滞在していた。そこで最初に覚えたイタリア語のフレーズは、曲にもなってるんだが、”Monica Tornera Domenica Sera”(Monica will be back on Sunday Evening) 近くの教会を夜借りたり、録音スタジオにも通い、1週間ほどで作曲・制作した。ぼくのアルバム『Bar del Mattatoio』に入ってる「Genova」「It’s So Far to Go」、及び『NekonoTopia NekonoMania』に入ってる「 BERLINER NÄCHTE part-1〜4。ちなみにこのイタリアのエージェントは、87年9月、初めてのコム デ ギャルソンのショーのためのオリジナル曲が披露された際に終わってすぐにバックステージに来て、その場で依頼されたのだった。



 
 

NO.   Title Artist Arthor 作詞/作曲 JASRAC作品コード
1   A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY Seigen Ono Seigen Ono 082-4654-8
2   AN APPLE IN THE FREEZER
Seigen Ono Seigen Ono  082-4688-2 
3   ENISHIE Seigen Ono Seigen Ono 082-4540-1
4   NekonoTopia Nekono Mania Seigen Ono Seigen Ono 082-4601-7
5   MY FIRST WISH Seigen Ono Seigen Ono 082-4596-7
6   It's DENISE Seigen Ono Seigen Ono 082-4571-1
7   A PERSON AND THE PHOTOGRAPHY Seigen Ono Seigen Ono 082-4654-8
8   1989 Seigen Ono Seigen Ono 082-4672-6
9   I THINK OF YOU Seigen Ono Seigen Ono 082-4568-1
10   PLANADOR Seigen Ono Seigen Ono 082-4671-8
11   CARAMBA Seigen Ono Seigen Ono 082-4528-2
12   BERLINER NÄCHTE part-1 Seigen Ono Seigen Ono 082-4518-5
13   BERLINER NÄCHTE part-2 Seigen Ono Seigen Ono 082-4519-3
14   BERLINER NÄCHTE part-3 Seigen Ono Seigen Ono 082-4520-7
15   BERLINER NÄCHTE part-4 Seigen Ono Seigen Ono 082-4521-5
16   I THINK OF YOU Seigen Ono Seigen Ono 082-4568-1