at the Blue Note Tokyo
Seigen Ono Ensemble

OMCA1075
 
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Seigen Ono Ensembleは、1993年にスイス、モントルー・ジャズ・フェスティバルがきっかけで結成された。ブラジル、スイス、イギリス、ルーマニア、フランス、アメリカと日本の7カ国混成ミュージシャンで。日本でもやってほしいという声に、南青山にあるブルーノート東京で日本人ミュージシャンだけ9人編成ですべて新曲だけでやった1日限りの(その後2003年にも)日本でやる初めてのライヴの記録である!ヨーロッパでは引く手あまたで、数々の(しかもいろいろな設定/顔触れによる)ライヴをやってきた。

「エロティックな音響空間に満ちるザワメキとトキメキ」/松山晋也(音楽評論家)
 たった一夜だけの夢のようなコンサートだった。それを生で体験できたのは、わずか数百人だけである。僕は今、このライヴ・アルバムを聴き直しながらあの春の夜の記憶をゆっくりと反芻し、改めて幸運に感謝している。
 
 
TRACK LIST:
01. She is She
02. Hanabi
03. Anchovy Pasta
04. Kind of Red and White
05. But it's True
06. Shadows of Charango
07. Yulayula 2
08. Picnic
09. White Tango
10. Nuite de la Danse









MUSICIAN: 
Seigen Ono (Electric Guitar/Charango)
Jun Miyake (Electric Piano/Pianica)
Yoichi Murata (Trombone)
Nao Takeuchi (Tenor Sax)
Hidenori Midorikawa (Alto Sax)
Issei Igarashi (Trumpet)
Tomo Yamaguchi (Percussion)
Shinichi Sato (Electric Bass)
Satoru Wono (Turn Table/Sampler/Keyboards)
And also special stage appearance by
Kyoko Enami (Reading on track 3)
Yayoi Yula (Voices on track 7, 8 and 10)
Satoshi Ishikawa (Pandeiro on track 5)
Cokky (Tantan on track 5)
Den (Cavaquinho on track 5)

オノ セイゲン、三宅純、村田陽一、竹内直
緑川英徳、五十嵐一生、山口とも
佐藤 慎一、ヲノ サトル、江波杏子
柚楽弥衣、石川智、Den and Cokky



















 
Live recorded at the Blue Note Tokyo,
12 March, 2000

All compositions written by Seigen Ono
Except "Yulayula 2" by Seigen Ono and Yayoi Yula
Performed by Seigen Ono Ensemble
Produced by Seigen Ono
Mixed and Mastered by Seigen Ono at Saidera Mastering, Tokyo July - August 2007
 
Sony Sampling Reverb DRE-S777 with 6 set of omni directional speakers to add surround reverbration into the venue.
DPA 4021 pick up the sound on the stage into DRE-S777 (48K/mono in 4 out/St.Vincent cathedral, Concertgebouw Large). House PA sound designed and engineered by Kenjiro Motoki and his team. Akira Fukada show up for our sound check. He looked around to chose good spot to hung surround microphones with his fishing string which was in his pocket. He supposed to go to fishing but he maybe changed his plan. A pair of DPA 4009, 5m gap, and other pair of Sennheiser MKH-40 for front main stereo image. 1m gap. 3m distance between front and back pairs. Captured audio with follow microphones; DPA 4035 for Charango, Neumann M 149 Tube for Alto Sax and Trumpet, TLM 103 for Trombone and Tenor Sax, Audio Technica AT4051 for Percussion top, Shure Beta 87 for voices, AKG 414 for EG and EB amps. Microphone preamplifiers, compressor and ADs: Tube-Tech MEC-1A x5, Studer D-19MicAD 8chx2, GML 8300. Avalon 2044, AMEK System 9098, Apogee AD-8000. Recorded on Tascam DA-78HR (48KHz24bit)
 
For surround SACD mixing (2007);Transfer Tascam to ProTools HD3, up-convert 96KHz, No EQ or Plug-ins but Sampling Reverb DRE-S777 (only 3 machines 96K) to recreate the space. Mix in the box. Then 8 track PCM to DSD convert via Prism Sound ADA-8 to Sony SONOMA DSD Audio Work Station. Adjust delays between ambience and stage microphones. Monitoring: EMM Labs the DAC8 MKⅡ, Grace Design m906 high fidelity 5.1 monitor controller, Sony TA-DA9100ES
 


 ひとの精神が解放されるときとは、どんなときだろうか。心の底に深く眠っていた記憶が呼び覚まされたときだろうか。それともまだ見たことのない空間に遭遇したときだろうか。こんなにも便利ではなかった時代にまだ見ぬ異国を想いうかべると狂おしい想いにひたる。
 いまでも"上海"といった言葉を耳にすると現実の上海を通り越して、そんな頃の"上海" を想いうかべる。フランス、イギリス、アメリカ、そして日本などの列国の欲望が渦巻いた時代の上海。あやしげな路地裏のランタンに霧のかかった無国籍都市、上海。政治と犯罪、酒と音楽にうずまく上海。現実は想像のわきを擦り抜けていく。
 オノ セイゲンの音楽はすべての現実を無化していく。そしてそこに残るのは解放されたひとつの心がある。

内田 繁

 
 
「エロティックな音響空間に満ちるザワメキとトキメキ」

 たった一夜だけの夢のようなコンサートだった。それを生で体験できたのは、わずか数百人だけである。僕は今、このライヴ・アルバムを聴き直しながらあの春の夜の記憶をゆっくりと反芻し、改めて幸運に感謝している。
 オノ セイゲンを紹介する時、いつもその肩書きをどうすべきか迷ってしまう。日本を代表するサウンド・エンジニアであり、同時に作曲家、プロデューサーとしても素晴らしいキャリアを築いてきたこの人物は、簡単に言えば音楽家ということになるわけだが、しかし僕には、それよりも詩人、はたまた夢想家といった呼び方の方がしっくりくるように思えるのだ。セイゲンの作り出す音楽は、いつ、どんな時も、とてつもないイマジネイションとポエジーに溢れており、聴き手をはるか遠い場所へと連れていってくれる。そこには確かに、音楽のマジックがある。音楽の神というものを思い起こさせてくれる。マーケティング・システムと市場心理だけに依拠した情けないお子様商品が跋扈しまくる現在の日本にあって、それはほとんど奇跡的というかシュールリアリスティックなことのようにも思えるのだ。そんなセイゲンの気品と勇気に、僕はいつも敬意を抱いてきた。

 2000 年 3 月 12 日、青山にあるジャズ・クラブ、ブルーノート東京で「セイゲン・オノ・アンサンブル」のライヴが 2 セット行われた。ここにある音源はそれらを編集したものだ。「ほとんどの曲は 2 セット目のもので、オープニング曲だけが 1 セット目のもの。1 曲目を 1st セットのテイクにしたのは、お客さんがすごく緊張しているのが伝わってくるから。イントロをあれだけ長く引っ張ってなかなかテーマに入らなかったのは、お客さんの反応を見ていたからなんです。これから何が起こるんだろうかというお客さんの気持ちが、ステージから 見ていてよくわかったし、この 2 コードだけでみんなどこまで退屈しないかなぁと思ったり(笑)」。(SACD レイヤーの2chステレオでは、M1,5,6 の別テイクが聞ける)。
 まずはマテリアルについて語るセイゲンの言葉が、いきなり彼の音楽の本質をついてくる。彼の音楽は常に、その場の「気」のヴィヴィッドな流れや遣り取りを大事にする。あれこれいじり回して完成品としてきれいにパッケージされたサウンドなどには興味がないのだ。彼の音楽は、いつも予期せぬ出来事、予期せぬ出会いを待っている。時にはミスやトラブルもあるだろう。しかし、それもまた音楽、というのが彼の姿勢であり、生き方である。だから、この日も、最低限の譜面だけをメンバーに渡し、アンサンブルができるだけ自由に呼吸できるように心がけたという。「ゲネプロなどは絶対やりません。何よりも新鮮さが大事だから。それがなくなったら音楽はおしまい。なんとなくツアーやってる音楽や、営業的な音楽は、ゲネプロがきれいに仕上がることが重要で、後はそのリピートになっているわけだけど。メンバーも、普段の自分のバンドではできないようなプレイを自由にできたように思う。自然と引き出されたというか。彼らが自分のバンドでブルーノートでやれば、もっとクールなものになると思う。でも、僕はクールなものは目指してないしね」。
 自分の目指す音楽、描きたい世界、つまり生き方というものを、はっきりと自覚しているからこその力強い発言だ。だからこそ、これだけクセの強い一流ミュージシャンばかりがつどい、自由に演奏しても、とっちらかることなくギリギリのところで統制と均衡がとれた美しいアンサンブルが生まれたのだと言える。ここにある音楽は、終始、適度の緊張と冒険心に貫かれ、それでいて温かいユーモアや笑いにも溢れている。「良質の音楽というのは、一番いい緊張感と一番いいエキサイトと一番いいリラックスが同時に起こらなくてはいけないと僕は思ってるんです。どんなミュージシャンにとっても、普段慣れていることを排除していくと、全然違うアプローチが出てくるもんですよ」。

 こうした、客席の息遣いも含めた「気」のダイナミクスが生々しく生成するスポンテイニアスな音楽空間を作り出すために、セイゲンがとりわけ心を砕いたポイントとして、当夜の音響システムも見逃せない。この夜、彼はどういう音を出し、どういう音を客に聴かせたかったのか。
「ブルーノート東京は、フラッターなど問題がおこらないようよくコントロールされた、ただし響きは少ないハコです。だからサンプリング・リヴァーブで響きを加えようと思った。12 面スピーカーを四隅に設置して客席からステージまで自然に響きにつつまれるようにしたわけです。つまり、大きな教会やコンサート・ホールと同じようなリヴァーブの状態を作った。楽器の音は楽器自体及び PA から出て、リヴァーブだけが、本来リヴァーブがあるべき方向から聞こえるようにした。これは、ソニーが開発してきたサンプリング・リヴァーブを使って、アムステルダム・コンセルトヘボウとスペインのセント・ヴィンセント教会の音響をシミュレイトしたものです。ライヴでのこういう試みは世界初だし、あと、サラウンドでのライヴ・レコーディングというのも初めてです。この、いいリヴァーブに包まれる状態は、お客さんだけでなくミュージシャンにとっても大事なんです。とにかく演奏しやすいし、気持ちいいから。録音した後から人工的なリヴァーブを足すよりも、まずその空間がいい音であることが大切です」。
 去る 8 月、セイゲンのニュー・アルバム『Maria and Maria』のニューヨークでの録音に立ち会ったのだが、そこでも彼は、ミュージシャンからいかにいい音を引き出し、それを素直にテープに定着させるかということに最も心を砕いているように見えた。いい音色、音響で楽器が鳴るスペースとコンディションを作り出すことが、何よりも大切なのだ。いい音色や音響は、いいメロディーやハーモニーを自然に生み出す、と。「楽器が鳴る部屋も含めて、初めて一つの楽器になるんだと思います。それが良くないといい演奏もできないし、いい録音は成り立たない。演奏を録音した後でミキシングやマスタリングでいじればなんとかなるってのは嘘ですよ」。
 このライヴ・アルバムは『Maria and Maria』と共に、サラウンドのスーパーオーディオ CD としても再リリースされることになっているというから、そちらも是非体験していただきたい。「正直言うと、サラウンドのスーパーオーディオ CD でこそ音楽として本当に表現したいことが伝わると思うんですよ。その形態でこそ、あのライヴ空間をそのまま部屋の中に持ち込むことができる。今までのステレオとか CD とは全く概念が違いますね」と、セイゲンも自信たっぷりに語っていることだし。

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 アンサンブルのメンバーは、セイゲン以下、三宅純、村田陽一、竹内直、緑川英徳、五十嵐一生、佐藤 慎一、山口とも、ヲノサトルの計 9 人。現時点で自分の考えるベスト・メンバーだというこのラインナップで、セイゲンは海外ツアーもやってみたいと言う。それは、このサウンドが、海外、特にヨーロッパや南米の人たちに受け入れられやすいものだから、と。「このサウンドは、日本人がやってるとはわからない人が多いと思う。南米やヨーロッパ人は、こういうサウンドが大好きなんです。体験的に、確信がある。これは、日本やアメリカで受け取られている典型的なジャズやフュージョンではない、もっと色んな要素が絡まった無国籍な音楽です。僕は色んな土地を旅しているから、そういう要素が自然と入ってくるんです」。
 様々な夢想空間へのワープを促すマジカルな音響。ここには、音そのものだけではない、いろんなザワメキやトキメキが渦巻いている。頭で受け止めるのではなく、全身の毛穴を開いて、このエロティックな音響空間を追体験していただきたい。
 

2000 年 11 月 3 日 松山晋也
NO.   Title Artist Arthor 作詞/作曲 JASRAC作品コード
1   She is She Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 084-8277-2
2   Hanabi Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 084-8278-1 
3   Anchovy Pasta Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 058-8181-1
4   Kind of Red and White Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 071-1728-1 
5   But it's True Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 071-5815-7
6   Shadows of Charango Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 084-8279-9
7   Yulayula 2 Seigen Ono Ensemble Yayoi Yura / Seigen Ono 084-8280-2
8   Picnic Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 084-8281-1
9   White Tango Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 058-7123-9
10   Nuite de la Danse Seigen Ono Ensemble Seigen Ono 084-8282-9